はこにくみ

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映画見ました!ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

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小規模なIT会社、黒井システム株式会社に入社したマ男は、その社内文化に採用一日目にして凍り付くこととなる。「定時なんてものは、都市伝説だ、バーカ」とリーダーにドヤされ、下請けは底辺だと教え込まれる。そんなマ男の背景は実はとても複雑で、中卒後ニート生活が長く過去の自分を自ら決して話したがらない。母親の死をきっかけに立ち上がろうと就職活動に取り組んでいたところを、この会社に拾われたのだったが、フリーペーパーの記事から、この会社が「ブラック会社」なのであることに早々に気づいてしまった。

「キミは自分が思っていたよりもずっと強い人間だと思う」と唯一信頼できる先輩のフジタさんに励まされ、がむしゃらに目の前のタスクに取り組むマ男だったが、出世欲の強い新人のキムラくんが納期が極端に短い仕事を受けたため社内環境は更に改悪されることに。そんな中、フジタさんが会社を去ることに。父親のガンが発覚した直後の出来事だった。

フジタさんの彼女も過去に同様の会社で働いており、些細なことでけんかしたあと、発作的にマンションから飛び降り自殺をはかった。その罪滅ぼしのような形で、フジタさんは黒井システムで働いていたのだという。弁護士事務所で働くことになり、会社を去ると知った。フジタさんも変わろうとしていたのだった。そんなフジタさんにマ男は「これからは自分のために生きてください。」と語りかけた。

とはいえ、こんな会社でこのまま働き続けてよいのか。自問自答を続けながら、マ男はある事実に気がつく。俺は引きこもっていたときも限界だったんだよ。でも、これが生きてくって事なんだ。そして、心の支えだったインターネット掲示板に向かい、高らかに宣言をするのだった。「ブラック会社に勤めてるんだが、まだ俺は頑張れるかもしれない」

エンドロールが終わって、社長室のシーンに切り替わる。泣きながら話す求職者に対して優しく声をかける社長「早く家に帰って、家族に報告してあげなさい」。そしてまた一人、新たな新人を採用した社長の最後の台詞がなんともブラックである。「ソルジャーゲット〜」

この映画を見ていると、ブラック企業というのはその企業体そのものに原因があるものと、社会の構造上さけられないものがあるということに気づかされる。下請け会社は、価格競争でたたかれ、無理難題だと分かっていながら仕事を引き受ける。何かしら事情のある働き手は、社内環境の整っていない所謂ブラック会社でしか働くことが出来ない。この映画では詳しく描かれていなかったけれど、就職活動でいくつもの会社から断られ続けてきた若者は、自信を失って人生の意味を見失う。マ男のように限界に向けて自分の本当の声を出せないまま、苦しんでいる人たちはきっと大勢いる。

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