はこにくみ

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映画見ました!聖の青春(2016)ネタばれあります

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羽生善治を追いつめた棋士村山聖

病と闘いながら全力で駆け抜けた、わずか29年の生涯。

 

「東の羽生、西の村山」

かつて天才・羽生善治と互角の戦いを演じた棋士がいた。

 

幼少期より腎臓の難病・ネフローゼを患い、入退院を繰り返した村山聖。入院中のある日、聖(さとし)少年は父が何気なく勧めた将棋に心を奪われる。その日から彼は、将棋の最高峰である名人位を取る夢を抱いて将棋の道をまっしぐらに進み続けた。羽生善治ら同世代の天才棋士たちとの死闘、師匠や父母の深い愛情。自らの命を削りながら将棋を指し、病と闘いながら全力で駆け抜けた壮絶な一生。短い余命を覚悟し、「どう死ぬか、どう生きるか」に退治した最期の4年間の姿にフォーカスして描かれた映画。

実話をもとに製作された映画、とは聞いていたが、大衆向けにかなりアレンジされている印象。私自身はそこまで将棋にも村山聖にも詳しくなかったので、自宅に帰ってから復習が必要だった。ドキュメンタリーなどで彼を紹介する作品がこれまでにもたくさんあったため、なぜ「水道をきちんと閉めずに、ポタポタという水の音を聞いていたのか」なぜ「酒を飲んでばかりで病院には行かなかったのか」といった疑問は解消された。

手術を拒み続けたのは、子どもを残すことが出来なくなるから。映画の中では彼の家族間に関する描写はさらりと描かれている。「一度でいいから女性を抱いてみたい」と羽生に語ったことや、「子どもを残せなくなってごめんね、母ちゃん」と手術を決意した時の悲壮感あふれる台詞。聖が夢として掲げていた、理想の家族を築き上げられなかったことは、ただ無念だったに違いない。名人になるというもう一つの夢も、ついには果たされることは無かった。

病気になったから、将棋に出会った。なぜ僕だけが、という悲観的な姿勢は誰にも見せることが無かった。そんな聖青年の生き方は、とてもまっすぐで胸を打つ。これといって何に打ち込んでいるのか自分のことが分かっていない、積極的モラトリアムとは真逆の、ひたむきに何かを成し遂げようとする姿は痛々しくもある。時間に追われて何かから逃げ続けるのではなく、立ち向かう姿勢はどこから湧き出るものだったのだろう。魅力的な彼を偲び、あるいはこの映画をきっかけに熱烈なファンになる人も多いのではないだろうか。 

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