はこにくみ

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映画見ました!トイレのピエタ

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「最期の夏、世界にしがみつくように、恋をした。」

www.shochiku.co.jp

 

画家への夢を諦め、窓拭きのバイトを続けながら自分のことを「虫みたい」だと揶揄する主人公。胃に悪性の腫瘍ができていることが判明し余命はあと3ヶ月。

突然自分が死んでしまうことになって、世界の見え方が変わってしまったヒロシは、病院の同室のヨコタさんや、小児がんで亡くなったタクトくんとそのお母さん、悩みを抱える女子高生のマイといったこれまで関わることの無かった人たちと時間を過ごすようになります。

 

手塚治虫が亡くなる前に書いた日記に着想を得て書かれたという脚本というのは映画を見終わってから知りました。

フィレンツェピエタは、通常の母子像であるピエタとは違い、キリストの死体を他の数人が支えるという作品。映画に出てくるピエタは、微笑みながら亡くなった息子を抱きかかえる像となっています。

「世界ってさ、変わることなんかなくて、常におんなじ高さにあって、だから残酷なのよ。とっても。変わるの自分だけ。」ヨコタさんは自分の居場所が無いとこぼしたけれど、ヒロシはマイに良く似たピエタの絵をトイレの中全面に描き「僕、今生きてます」と返します。

映画を見てしまったあとになっても、死期迫る人の心境は想像することが出来ませんでした。でも、「今、生きてる」って思える瞬間はそう簡単に経験できることではないと思います。

『トイレのピエタ』生々しくて、とてもキレイなお話でした。